〔 田近部会長 〕お暑いところ、お集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会、法制・公会計部会及び公会計小委員会の合同会議を開催いたします。皆様におかれましては、ご多用のところ、ご出席いただきましてありがとうございます。
この会議ですけれども、本年1月に財政制度分科会総会において、分科会長から法制・公会計部会長の指名を私が受けました。そして、部会長代理には私から中里先生にお願いしています。どうぞよろしくお願いします。そして、部会の構成についてですけれども、同じ財政制度分科会総会において、法制・公会計部会を設置するとともに、従前の公企業会計小委員会について、名称を公会計小委員会と改め設置することになりました。私から公会計小委員会の委員長には水口委員を指名させていただいております。どうぞよろしくお願いします。まず、水口委員から公会計小委員会についてご説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。
〔 水口委員長 〕水口でございます。よろしく。
公企業会計小委員会は、従来から特殊法人等公企業以外に省庁別財務書類作成基準等、広く審議してまいりましたけれども、このたびの財審の改選に伴いまして、新たに公会計小委員会と名称を変更いたしました。公会計小委員会には、これまでどおり省庁別財務書類等の作成基準等を審議していただく公会計ワーキンググループと、独立行政法人会計基準について総務省に設置されております、独立行政法人会計基準研究会と共同で審議をしていただきます、共同ワーキンググループを設置しております。公会計ワーキンググループの座長には黒川委員を、ワーキンググループ座長代理には木委員を指名させていただきました。よろしくお願いいたします。
〔 田近部会長 〕よろしくお願いします。
これから、きょうの会議の中身に入らさせていただきますけれども、それに先立ち、きょうは法制・公会計部会及び、今、水口さんのおっしゃられた公会計小委員会合同会議の初めということで、ご出席の方から一言ずつごあいさつをいただければと思います。安藤先生から、すいません。
〔 安藤委員 〕専修大学の安藤と申します。どうぞよろしくお願いします。
〔 岩本委員 〕東京大学の岩本でございます。よろしくお願いいたします。
〔 碓井委員 〕明治大学の碓井でございます。どうぞよろしく。
〔 小林委員 〕早稲田大学、小林でございます。よろしくお願いいたします。
〔 木委員 〕公認会計士の木でございます。よろしくお願いいたします。
〔 中里委員 〕東大の中里でございます。よろしくお願いいたします。
〔 増田委員 〕会計検査院の増田でございます。よろしくお願いいたします。
〔 保田委員 〕関西電力の保田でございます。よろしく。
〔 宗岡委員 〕関西大学の宗岡でございます。よろしくお願いいたします。
〔 田近部会長 〕どうもありがとうございました。そのほか、会議のメンバーリストはお手元の資料にございますから、それでご欠席の方のご紹介にかわらせていただきたいと思います。以上が委員のご紹介です。
続いて議題に入らせていただきます。報告事項として、きょうは3つ議題を用意しています。事務局から、これから報告をいただきますけれども、議題としては以下の3つです。
第1の議題が、「平成19年度 国の財務書類」の作成・公表について。いわゆるバランスシート等の話です。
第2の議題が、財務書類の作成・公表の早期化を図るため、現在、財務省において開発を行っている「財務書類作成システム」の開発状況について。
第3の議題が、平成20年度財務書類の作成・公表等についてであります。具体的な内容としては、次の2つであります。
1つ目が、平成20年度の国の財務書類及び省庁別財務書類の公表時期の早期化。
2つ目が、当法制・公会計部会、公企業会計小委員会、公企業会計ワーキンググループで、平成19年6月26日に取りまとめました、事務事業ごとのコスト情報の作成についてであります。
以上3つの議題を事務局から説明いただいて、ご意見を賜りたいと思います。それでは資料に沿って、事務局から説明をいただきます。
〔 森公会計室長 〕公会計室長の森でございます。よろしくお願いいたします。座らせていただきます。
まず、第1の議題でございますが、平成19年度、国の財務書類についてご説明いたします。資料1関係でございまして、本体はこの冊子のものでございますが、ポイントを資料1−1でご説明させていただきます。
国の財務書類については、先生方のご指導をいただきまして、平成15年度分から5回目の公表となります。これにつきましては本日の会議を経まして、明日、7月24日公表させていただきたいと考えております。平成19年度国の財務書類のポイントといたしまして、まず全般的な事項でございますが、行政コストにつきましては減少。企業会計ベースで見た当期純損失に相当する金額につきましては、11.9兆円の赤字という形でございます。
1枚おめくり願います。国の財務書類ということで、バランスシートにつきまして、平成19年度末の一般会計と特別会計を合わせたものでございますけれども、まとめてございます。資産の部、左側でございますが、合計694.9兆円という形になっています。そのうち現金・預金につきましては、31.9兆円、うち外貨預金が13.7兆円、有価証券が104.7兆円でございまして、そのうち米国債等外貨証券が92.4兆円となっています。あと未収金。これは相続税の納税猶予分とかも入っておりますが、これが15.1兆円、財政投融資などの貸付金が190.2兆円、年金の市場運用に寄託している運用寄託金が112.8兆円となっております。次は有形固定資産でございまして、国有財産36.8兆円。これは土地のほか、例えば国有林野とか自衛隊で持っております航空 機とか艦船とか、そういうものをすべて合わせたものでございますが、それが36.8兆円になっておりまして、その他いわゆる公共用財産としまして、道路とか堤防とか海岸の護岸とか、そういうものが140.7兆円とかなりの金額になっております。あと、出資金につきましては、大きなものをこの四角のところで挙げておりますが、全体で57.9兆円でございまして、国際協力銀行、JBICとか、高速道路の保有機構とか、福祉医療機構とか、そういうところが大どころになっております。
他方、負債につきましては、右側に表記しています。政府短期証券は、外為証券が105兆円で、国内部の保有分と相殺等しますので、全体で73兆円。公債につきましては、全体で675.7兆円でございまして、建設国債237兆円、特例国債は283.8兆円。次の預託と合わせまして、財投の貸し付け等の原資となります財投債につきましては139.9兆円となっております。あと、公的年金積立金のいわば見合い資産として負債の部に計上しておりますが、公的年金預り金が140.6兆円。発生主義でございますので、公務員の退職給付引当金が計上され14.1兆円でございまして、負債の部が総額で977.8兆円となっており、相変わらずといいますか、資産負債差額につきましては、282.9兆円のマイナスとなっております。
めくりますと、国の行政コストでございます。平成19年度業務費用につきましては、全体で118.4兆円。これは注1にございますけれども、公共事業費や施設費というのは発生主義ベースでは計上されませんで、そのかわり減価償却費等を計上した姿でございます。性質別に分類しておりまして、まず、人件費が5.6兆円、事務費が4.4兆円でございまして、あと国が個人に直接給付する経費、例えば年金、政管健保、失業給付、労災給付でございますが、そういう社会保障関係の経費が48.5兆円、補助金等という形で団体に支出される経費、これは独法に対する運営交付金等も含まれますが、そういうものが27.8兆円。地方団体への一般的な交付金として支出される地方交付税が16.2兆円、あと減価償却費が4.7兆円、利払費が9.4兆円が、平成19年 度の業務費用の一覧でございます。
めくっていただきまして3ページ以降は、一般会計と特別会計合わせたものにつきまして、対前年比比較という形で要因分析等を実施しておるところでございます。
めくっていただきまして4ページでございますが、18年度と19年度、四角という形で資産・負債の大きさが書いてございます。これは行革推進法等に基づきまして、資産・負債につきましては圧縮を行っておりまして、平成19年度におきましても資産が9.6兆円、負債が5.8兆円、それぞれ圧縮されております。資産の減少の主な要因でございますけれども、貸付金といたしまして27兆円減、これは財投改革による貸付金の減少等。年金の運用寄託金につきましては、財投から返ってきたものにつきまして市場運用等行うこと等で、16.1兆円増えています。有価証券のところでございますが、1つは外為特会が持っている外貨証券、これは利子等による新規購入分と評価益の分を合わせたものでございますが、これが10.1兆円の増でございます� �あと出資金のところもあわせて見ていただきたいのですが、19年度の10月に日本郵政公社が日本郵政株式会社に改組されたことによりまして、日本郵政公社分の出資が10.1兆円減り、日本郵政株式会社への出資が2.6兆円増えております。国が義務的に持つものは出資と整理されますが、義務的に持つ以外の株式等につきましては、有価証券という形で整理しておりまして、有価証券の額が、日本郵政公社の改組による分5.1兆円増えてございます。
次のページを見ていただきますと、負債でございます。負債自体は5.8兆円の減少でございまして、郵貯の預託金が31.5兆円と減少した等、預託金が31.9兆円減っており、公的年金預かり金についても4.2兆円減っています。公債につきましては、この年は建設国債6兆円、特例国債19兆円新規発行しておりますけれども、償還部分もございますので、建設国債につきましては243.3兆円から237兆円と6.2兆円減り、特例国債につきましては16.1兆円増えております。また、財投等で持っていました国債につきましては保有減がございまして、その影響で14兆円ネットで公債が増えております。
そういうことで、資産・負債差額は国債発行等によりまして3.8兆円、対前年比で悪化しておるという姿でございます。
国土安全保障省は何ですか
6ページを見ていただきまして、行政コストでございます。行政コストにつきましては、先ほど申しましたが、3.9兆円減っております。ただし、これは制度的な特殊要因がございまして、18年度まで三位一体改革ということで、18年度は所得税から住民税に譲与する分につきまして、国から地方へ所得譲与税という形で譲与しました。19年度からはそれがなくなりましたので、その影響で3兆円減少しております。地方交付税交付金等につきましても、定率減税の廃止等住民税が充実した等もございまして、その点から0.8兆円の減しており、冒頭申しましたように制度的な要因から地方交付税交付金等4.3兆円減っておるということでございます。他方、年金給付費につき ましては、受給者増ということから基礎年金給付費が1兆円増えており、全体の行政コストについては、全体で3.9兆円改善しておるという姿でございます。
めくっていただきまして7ページ目が、財源との関係でどう見ていくかという話でございますが、この年、財源のところですが、若干、サブプライムローン問題が生じ始めましたので、租税等財源としましては54.1兆円から52.7兆円という形で落ちています。ただし、財源不足といたしましては先ほどの、業務費用が減ったということもございまして、11.9兆円赤字という形になっております。対前年度から3兆円縮小していますが、相変わらず財源不足でございまして、将来への負担の先送りを示しておるということでございます。要因的には、租税収入は先ほど申しましたように1.4兆円の減、社会保険料収入については0.8兆円増えておるということでございます。
以上、特別会計と一般会計を合算いたしました国の財務書類の姿でございます。
8ページ目から一般会計の姿がございますが、これは時間の関係もございますし、要因につきましては、特別会計を合算したものとほぼ同じでございますので、説明を省略させていただきます。
13ページにつきましては、国と業務関連性のある法人につきまして連結いたしました214法人でございますが、連結財務書類につきまして対前年度ではございませんで、国単独の場合との比較について示しております。
14ページが貸借対照表でございます。ポイントのところを見ていただきたいんですが、日本郵政株式会社、郵便貯金・簡易生命保険管理機構と、それぞれ327.5兆円とか、134.6兆円とか、巨額の資産を持っているわけでございます。国からの出資、もしくはこういった法人が持っている国債につきまして相殺消去しますと、全体としましては資産につきまして134.5兆円、負債については122.7兆円の増加ということでございまして、それぞれの法人がたくさん持っているわりには、資産なり負債なりの大きさというのはそんなには大きくなっていないという姿でございます。連結した姿でいいますと、資産・負債差額は19年度の連結で271.1兆円となりまして、やはり非常に厳しい姿になっておるというものでございます。15ページ、負債につき� �しても同じような形で、各法人が持っている負債、それぞれの相殺状況について一覧表にしたものでございます
16ページになりますと、全体の連結した姿で業務費用がどうなっているかでございます。業務費用は152.5兆円で、例えば郵政の関係でございまして、人件費が国ベースと比較しますと5.6兆円から10.6兆円、事務費も4.4兆円から16.5兆円と増えているほか、固有の項目としましては簡易保険の支払いがございますので、保険金等の支払金というのが13.9兆円立っているものでございます。業務費用が大きな連結した対象法人につきまして挙げておりますが、やはり郵政関係、そのほかの年金積立金管理運用独立行政法人でございまして、これにつきましては先ほどのサブプライムローン問題が発生したと言いましたけれども、株価が下がった関係で、資産運用損失5.5兆円出しております。
17ページが、財源と今申しました業務費用について比較したものでございます。財源自体は法人の連結収入がございますので、国ベースでは106.5兆円でございますが、全体で135.8兆円、29.3兆円増えております。他方、業務費用につきまして34兆円増えておりますので、財源不足としてはやはり16.6兆円、いろいろ国の業務に関連する法人を合わせても、依然として財源不足の状況が続いております。国ベースと比較して大きな差が生じている要因としましてはポイントに書いてございますけれども、年金積立金管理運用独立行政法人の資産運用損失の関係で、全体で4.7兆円財源不足が拡大しているというのが、この財務書類の大まかな説明でございます。
一番最後18ページには、いつもの国の現金主義ベースの総計ベース、そういう特別会計と一般会計の相殺を除去しました純計ベース、そして発生主義ベースで計算しました企業会計ベースにつきまして、一般の方でもわかりやすいような形の説明をつけております。
これが資料1−1でございます。
次に資料の1−4をごらん願いたいと思います。先ほど申しましたように、国の財務書類もこれで5回目になりましたけれども、この間、先ほどの財務書類の関係で連結法人がいろいろかわっております。独立行政法人と国立大学法人につきましては、指針等で連結することになっていますが、それ以外の法人の連結有無につきまして、今までの考え方をまとめたものが資料1−4でございます。
まず、連結の考え方でございますが、これは「省庁別財務書類の作成について」という基準の中で示していただいていますが、国の場合につきましては、業務関連性がある法人について連結すると。それで、その連結の考え方でございますが、監督権限の観点と、財政支出の観点から考えていくということで、監督権限の考えというものは役員等の任命権があって、さらに予算とか事業計画について認可権がある場合には、監督権限が十分あると。ただし、例えば役員が任命じゃなくて、単に承認だけですと、これは監督権限が不十分だということで△、財政支出につきましても出資金とか補助金でございますが、相当程度ある場合には○という形で、連結の考え方の各法人のところで、△、○等をつけさせていただいておりまして、 監督権限が不十分でも財政支出が十分ある場合におきましては連結するという形になっております。
見ていただきますと、16年度の関係でございますが、成田国際空港株式会社、PCB処理の関係の日本環境安全事業株式会社については、それぞれ監督権限について、役員の人事については承認権しかないのですが、財政支出が十分ございますので、これは連結しておると。道路公団改革の関係の諸会社につきましても、役員の承認権しかないんですが、財政支出については十分あるということで連結対象。一番最後、18年1月23日に設立された日本郵政株式会社につきましても、役員の承認権しかないんですが、財政支出につきまして株式100%持っていますので、連結対象という形になっています。18年度に連結しました日本司法支援センターについても同様に連結対象法人でございます。ただ、一番下の特例財団法人総合研究開発機� ��につきましては、監督権限が予算の届け出だけとなり、財政支出が全くなくなりましたので、従来の考え方から連結対象外とさせていただいています。
めくっていただきまして、19年度は新たな対象法人がこの表ではないのですが、20年度のこれからつくる財務書類で、地方公営企業等金融機構につきましては、100%地方公共団体の出資ということなので連結から外れます。あと、一番下のところでございますが、商工中金については役員の認可権はあるんですが、国の出資が46%と50%を切っておりますので、これも連結対象から外れるという形で整理する予定でございます。
これが資料1−4でございまして、以上が国の財務書類の関係でございます。今、申しましたように、国の財務書類、今回は従来8月に公表したものにつきまして、一月早く公表したわけでございますが、これにつきましてもっと活用できるようにということで、より早く作成しろと。そのためにはやはり情報システム化を進めるべきだというご意見をいただいたところでございます。
資料2でございますが、「財務書類作成システム」の開発状況ということでございます。今、申しましたように、システム化の背景でございますが、財審の方で18年6月に「財政活動の効率化・適正化のためには、できる限り早期にその作成・公表を行えるよう、システムの整備等について検討」すべきというご意見をいただきました。18年、19年と調査いたしまして、めくっていただきまして20年でございますが、今年から設計・開発に着手いたしまして、22年度に試行的に各省庁で実施していただき、23年から本格運用。23年度分の財務書類なので、公表できるのが25年の1月になると思いますから、そういうスケジュールでシステム開発を実施していきたいと考えております。
一番最後の3ページに、システムの概要ということで図がございます。今まではこの財務書類、平成19年度もそうでございましたが、決算が終わった後、その決算の情報につきまして手作業で各省庁にいろいろ作業していただいております。このシステムにおきましては、システムの概要、一番左上でございますが、各省庁におきまして、ADAMSU、これは国の会計システムでございますが、これでそれぞれ契約とか補助金の交付決定をする際に、入力段階で仕訳情報をつくっていただきまして、その情報が財務省の財務書類作成システムに行きまして、現金等につきましては仕訳できる。あと、期末処理でございますが、その各省庁の下でございますけれども、各省庁は国有財産総合情報システム等からもデータを得まして、決算 整理用のデータ、発生主義でございますので引当金等の仕訳データとか、特会との相殺データ、もしくは各法人との連結データにつきまして、これも財務省にございます財務書類作成システムに送ります。それによりまして右の一番下でございますが、今、ごらんいただきました国の財務書類、その前提になります省庁別財務書類というものをつくるということでございますので、23年度分からは、翌年度の1月という形で公表できるかと私ども存じておりまして、そうしますと国会審議等も含めましていろいろ活用できると考えております。
どのようなヨーロッパの国は、その名前で19文字を持っている
とはいえ、23年度分では遅すぎるのではないかというご意見もあるかと思います。資料の3−1でございますが、平成20年度の「国の財務書類」及び「省庁別財務書類」の公表時期の早期化というのをごらん願います。これの一番上の表でございますが、平成18年度までの省庁別財務書類につきましては3月公表、国の財務書類は先ほど申しましたように8月下旬の公表でございました。ただし平成19年度からは、特別会計財務書類については法定化されたこともございまして、各省庁に非常に努力いただきまして、1月20日に国会提出。省庁別財務書類につきましてはかわりませんが、国の財務書類については一月早くて、7月下旬の公 表としたわけでございます。平成20年度でございますが、省庁別財務書類につきましては、各省庁にさらにご協力いただきまして、全体につきましては3月から2月と一月早く公表いたしたいと考えています。また、一般会計だけですと作業的にはまだ手間がかかりませんので、できたものからという考え方でございまして、一般会計分については1月中に公表したいと考えています。そうしますと国の財務書類につきましては、19年度は7月下旬に公表したんですが、やっぱり6月下旬に公表できるのではないかなと意気込んでおるところでございます。これが資料3−1でございます。
あと、最後になりましたが、事務事業ごとのコスト情報の作成についてご説明差し上げたいと存じます。これにつきましては従前から、部会・小委の下にございました公企業会計ワーキンググループにおきましていろいろご検討いただいたところでございますが、国の財務情報、これは省庁別、特会別等、細かく出しておるところでございます。やはり個々の事務事業ごとにコスト情報をきちんと作成すべきだというご議論ございまして、平成20年度から予算とか決算につきましては、表示科目の単位につきまして、原則政策評価の単位と対応することになりました。そのため、平成20年度分からでございますが各省庁に依頼しまして、それぞれ作成イメージのところを見ていただきたいんですが、コストの内訳としましては人件費な� �、発生主義でございますので引当金繰入額とか、減価償却費とか、もしくはコストに対応するストックとか、対価とかがある場合につきましても、大体項目としましては1,600になりますが、それぞれごとに整理していただいて、まとめてみたいと考えています。ただし、この事項のまとめ方につきましては、ワーキンググループにおきましてどういうまとめ方がいいのか、もしくは人件費の配賦方法等につきましてもワーキンググループでいろいろ議論ございましたが、実際出てきたものを土台としまして、来年平成22年度春以降ワーキンググループを中心に具体的なご議論をいただければと考えております。
事務局からは以上でございます。
〔 田近部会長 〕ありがとうございました。というわけで、1つは国の財務書類、それから第2番目はその公表に当たってのシステム開発、そして来年度はこの会議が一月前倒しになるかもしれないと。それから、3番目はセグメントの情報を公開しようという話だったと思います。自由にご議論いただきますけれども、森室長ともいろいろ話して、最初の資料の4ページからが去年からの比較で、貸借対照表、バランスシート的に見ると資産・負債の差額が昨年の279.1兆から282.9兆と3.8兆円悪くなったと。要因はもちろんさまざまですけれども、言うに及ばず、その背後に公債の負債残高が響いているということは明らかだと思います。
それから、フローの行政コストで、何か不活発な話のような気がするんですけれども、19年に何が起きたかというと、地方交付税交付金が、18年20.5兆円が19年度16.2兆円に下がったと。こんなに下がったのは、実は国から地方への税源移譲に伴う所得譲与税譲与金が税源移譲で税に振りかわったということですよね。
〔 森公会計室長 〕おっしゃるとおりです。
〔 田近部会長 〕したがって、その部分が見かけ上大分減ったということで、業務費用が減ったと。そして、業務費用が減ったことに伴って、当期純損失相当額ですけれども、その部分も18年から19年で減っていると。ただ、減っているのも、よく見ると、実は基本的には今申し上げた業務費用が減っていることの反映だというようなことで、大きな話ですけど、19年の全体はそうなっている。この20年の数字がどうなるかというのは息をのむ感じではありますけれども、それは来年にして、どこからでも、会計自身のあり方等も含めて、3つの報告、どこからでも結構ですから、ご意見をください。
〔 水口委員長 〕どうもありがとうございました。資料2の2ページのシステム開発スケジュールのところですけれども、これはご説明の中にもできればもっと早くという話がありましたけれども、私から見ても、設計・開発に20年8月から着手して、試行運用が22年の4月から、これはどのくらいの期間を、設計・開発に着手してからが長過ぎるという感じと、それから、試行運用が4月からとなっていますが、これはどのくらいの期間をやる、あるいは、1年間いろいろなことがあって、やって、それから23年に本格にいくのか、その辺の状況をちょっと教えていただきたいのですが。
〔 田近部会長 〕そうですね。じゃあ。
〔 森公会計室長 〕まず、システムのスケジュールの話でございますが、実は先ほど申しましたように、今までは決算情報を使ったわけでございますが、今度からは実際の打ち込みの段階で、仕訳情報を各省庁の担当者に実施していただかなければならない。そうしますと、これはきちんとデータを入れていただくためには、やはり予行運用が必要だということで、22年4月から1年間、省庁別財務書類なり、国の財務書類の作成期間が1年間という形になっていますので、1年間これはお時間をいただければと存じております。
設計・開発につきまして、20年から始めているところでございますが、これは設計・開発業者の選定、もしくは要件定義につきましての詳細の決定。それを踏まえまして、開発、あとは、こういう試行運用の際の省庁の担当者へのテキスト等もつくらなければいけませんので、そういうところも含めまして、22年の3月までお時間をいただきたいという話でございます。
〔 田近部会長 〕どこまで説得的だったかわからないけど。このことは、僕はほとんど情報を持っていない、知らないので、ご意見がもしいろいろあれば。鋭意やっているとは思いますけれども。
〔 水口委員長 〕僕がコンピューターや何かをやってきた経験からいくと、こういうのは要するにシステム業者任せにすると、全部向こうの言うとおりになっちゃうという点がありますので、やはりスケジュールをこちらサイドでつくる方が、常に監督しながら急がせてやるということが非常に重要だろうと思います。任せないで。
〔 森公会計室長 〕水口先生のご意見、まことにごもっともでございまして、特に企業会計の関係のこういう会計システムというのはたくさんあるわけでありますが、この公会計の関係、国の財務書類は、処理する情報が多く相殺項目も含めて非常に独特でございますので、そこは公会計室で責任を持って見つつ、業者を指導しながら開発を進めたいと考えております。
〔 田近部会長 〕いいですか。
〔 水口委員長 〕結構でございます。
〔 田近部会長 〕では、ほかに、どこからでも。では、小林先生。
〔 小林委員 〕今のシステムのことなんですけれども、システムの考え方というのがすごく重要だと思うんです。財務書類を早くつくればいいというわけじゃなくて、つくった財務書類を利用しなければいけないということだと思うんです。それで、政策評価と結びつけている方向性があるわけじゃないですか。だから、プログラム管理というか、政策管理というか、施策管理、当初の目的が予算の適正化・効率化だったわけですね。そのときに、政策別のコスト・ベネフィットというようなことがテーマになっていたわけなので、その意味では、システムの中にそういったいろいろなプログラム管理ですとか、例えばプライシングの問題もあるかもしれないんですけれども、いろいろな予算編成の問題とマネジメント上� �管理の問題と、そういうものをどのぐらい組み込めるような概念設計になっているのか、そういうような検討をしなきゃいけないのかということについて教えていただければと。
〔 森公会計室長 〕このシステムにつきましては、ADAMSを前提といたしまして、そこに付加するようなシステムになっております。しかし、出てきた情報につきましてはXBRLみたいな形のアウトプットになりますので、そういう形からいえば、利用しやすい形にはなっておると。そもそも事務事業ごとのコスト情報につきましては、多分平成20年度からの取り組みということで、またどういう形のものがよろしいのかなということでこのワーキンググループでもいろいろご検討いただくと思いますが、それに沿って、また将来的に考えていく課題かと考えています。とりあえず現段階では、翌々年の8月までかかったものが翌年度の1月までという形で早期化するということを第一にということで作業を進めてい る次第でございます。
〔 木委員 〕今、森室長の方からXBRLという言葉が出ましたので。私、実はXBRL Japanというコンソーシアムの会長をやっていますもので、今回、今年の2月、システム最適化の修正のところで、この省庁別財務書類がXBRLで開示されるということを知りまして、非常に心で喜んでおりましたが、開示というようなところだけのXBRLの採用ということで、システムの当初の段階のところに振り返って考えれば、集計段階のところでXBRLを使うと効率的であったかなと少々私も自省の念を持ちながらこのシステムについては見ているんですけれども。それはともかくとしまして、今、小林委員からのご発言に関連してなんですけれども、そもそも、残念ながら予算の方が施策別単位の表現に20年度から変わっておりますけれども、省庁別財務書類の方は施策別の単位というのが全く顧みられていないとい� �のが現在の姿となっております。
犬とナイアガラの滝クロスカナダとの国境
2年前に森室長がこちらに赴任される前のところの公会計関係のこちらの会議において、私は平成20年度から予算の外形が変わるのであるから、省庁別財務書類の表示についても見直した方が適切なのではないかということを提言したのですが、残念ながらそのとき、その声は取り上げられずに終わりまして、改めて施策別のところをどのように省庁別財務書類に取り込んでいくかということの検討を行うということを提案しておきたいと思います。
また、付言いたしますが、そもそも予算のところが施策別で表現されるようになったというのは、公会計基本小委員会の場が出発点でありまして、私だとか、そのようなことで提言させていただきまして、今日に至ったということで非常にうれしく思っているところなんですけれども、ただ、残念ながら予算の方が施策単位に変わったというところであるんですけれども、ほとんど世間ではその話は取り上げられておりませんで、政策評価においても、施策別単位でのそういった予算の情報ですとか決算の情報を政策評価書にまとめているところの省庁は、財務省は取り上げていらっしゃいますけれども、取り上げていらっしゃる省庁の方がむしろ少ないという状況で、あまり利用されていない状態というのが残念だなと思っているこ とを加えておきたいと思います。
あと、早期化に関してですけれども、今回のADAMSUをベースにしたところでの作成システムで大分早期化されるところと理解しておりますけれども、そもそも決算自体の早期化というところについて、せんだって財務省のほかの会議の場でも申し上げたんですけれども、そもそも出納整理期間そのものという話ではなくて、出納整理期間における作業内容そのもののところに日本の決算が必ずしも早いと言えない状況が生まれているのではないかということを申し上げております。
他の諸国と比較していまして、出納整理期間のところを除いて考えれば、むしろ決算書作成までのタイミングというのは早い方ではないかというふうに分析できるのですが、残念ながら出納整理期間の調整の期間があるがゆえに、必ずしも日本は早いという状況になっていないと。どうも、出納整理期間が他の国と比べて、その期間で行われている作業というのはかなり複雑なのではないかなと私は推測しておりまして、そういった意味で、より早期化といいますか、複雑過ぎるのであるならば、それを改善する方向でも改正というところをお取り組みいただけないかと思っておりますことをお伝えしておきたいと思います。
以上でございます。
〔 田近部会長 〕ありがとうございます。最初に2つご指摘があって、予算の方は例の施策別の書類がつくられたと。それをこの場でももっと活用しなければいけないんでしょうけれども、今度は省庁別の方の予算ではなくて、決算の施策別の書類ということは、公会計小委員会では議論されているんですか。それとも、木さんのご提案というのは……。
〔 木委員 〕2年以上前に提案いたしまして、そのときに顧みられなかったということです。
〔 田近部会長 〕状況はわかりました。早期化の話は出納期間のややテクニカルな話なので、2つ含めて。
〔 森公会計室長 〕ちょっと説明が拙かったかもしれませんが、実は資料の3−2が、木委員がおっしゃったことに事務局なりに対応しようと考えたことでございまして、今回の公表する財務書類平成19年度分でございますが、平成20年度分から政策評価に対応した約1,600の項目につきまして、これはまさに現金主義だけではございませんで、コスト情報、しかも2年前にご議論いただいたように、ストックとか対価収入についても、それぞれきちんと各事業ごとに、わかるものについて付加し、とりあえず全体をつくってみようというのが今回の作業でございます。
そして、その作業を踏まえまして、さらにあのときもご議論があったと思いますが、例えば補助金なんていうものは発生主義でやっても現金主義でやってもあまり変わらないから別途コスト情報をとる必要がないのではないかとか、そういう絞り込み等の議論も含めまして、22年春以降、具体的に検討いただければありがたいと存じております。
〔 木委員 〕確かに資料3−2でそのような形になっているのですが、1,600の施策について、すべて展開するのはかなりマンパワーが必要なのではないかなと推測しておりまして、この辺のやり方をどういうふうにするかというところの議論ということですかね。
〔 森公会計室長 〕おっしゃるとおり、2年前は、各省庁に、「こういうものがコスト情報を作成する事業として適当ではないか。」というものを各省庁なりに絞り込んでもらったらどうかというご議論をいただきました。ただし、やはりいろいろ当たってみますと、とりあえずは全部やってみて、それを踏まえまして絞り込みをやった方が、作業的には、効率性もしくは公平性の観点からよろしいのかなと思いまして、今回全部やってみたいと考えております。当然、ワーキンググループ等へ資料をお出しする際には、事務局で事前に整理いたしたいと思いますけれども、そういう形で進めさせていただきたいと考えております。
〔 田近部会長 〕早期化の方は、その出納期間が我が国では比較的長過ぎるのではないかというご指摘。
〔 森公会計室長 〕出納整理期間につきましては、ちょっと諸外国との比較データはないのですが、日本の場合、国の会計システムは、現金主義と言われながらも、いわゆる出納に関してはちょっと発生主義的なところもございますので出納整理期間をとっているところでございますし、法人税の税収の出納や特例公債の発行等もございます。ということでございまして、諸外国と比べてどのぐらい複雑なのかどうかというのは残念ながら手元に資料がございません。
〔 田近部会長 〕そのほか、ご質問あれば。
〔 岩本委員 〕細かいことで、前にも申し上げたかもしれませんけれども、きょうの資料の1−4でどういう法人が連結されるかということが出ましたので、それについて一言申し上げたいんですけれども、こちらの国の財務書類と、それから、国民経済計算の方の公的部門の範囲で微妙にずれがあるということを何回か指摘したんですけれども、考え方自体が微妙にずれているので、結果として含まれる範囲がずれてしまうということなんですけれども、どちらももともとの精神は同じで、企業会計の支配概念に基づいて何を公的部門とするか、あるいは連結するかということなんですけれども、ただ、支配というものを実際に基準に落とすところ、具体的な基準を設定するところで考え方が若干ずれているということ� �んだろうと思います。
それで、今、国民経済計算の方も公的部門の範囲について見直しの作業をしていますので、向こうも動いていますから、こちらの方だけ動いてすぐに合わすというわけにはいかないんですけれども、どこかで調整していただいて、できるだけ考え方をそろえていただくと、お互いの範囲がすっきり同じような形に落ちつくんじゃないのかなと思います。ずれているのはなかなか理由は説明しづらいので、こちらはこちらで考える、こちらはこちらで考えるということです。なかなか説明しづらいんじゃないのかなと思います。作成基準の見直しがどこかである機会で、国民経済計算のことも少し配慮していただいて、調整できるのであればしていただきたいということが1点です。
それから、もう1点、これは質問になるんですけれども、資料3−2で詳細な発生ベースの数字として、現在の決算書の方で、これは目番号ですか。別の係数とどの程度違ってくるのかなということでお伺いしたいんですけれども、例えば人件費ということであれば、これは全く同じ数字が入ってくるというふうに想像しておいてよろしいんでしょうか。減価償却費はもちろん現金主義ではありませんけれども、それが入ってくるぐらいで、ほかに関しては全く同じ数字が入ってくるのか、それとも微妙にずれるのか、そのあたりはどのように予想されているんでしょうか。
〔 森公会計室長 〕ご質問に対する答えでございますが、実は2年前のワーキンググループのときに、人件費を各事業にどのように配賦するのかという議論がございまして、今回、各省庁に対しては、この人件費につきまして、可能であればどのように配賦するかということでお願いしているところでございまして、仮にそういう形で各事業ごとに人件費をうまく配賦するような姿になりますと、これは決算ベースとかなり違うと。ただし、やっぱりなかなか難しいところがあるので、官房等で一括計上みたいな形になりますと、人件費のところというのはあまり変わらない。あと、先生ご指摘のように、減価償却費とか広義の人件費に含まれますところの退職給与引当金とか、そういうもの。あと、決算ベースで必ずし� �明らかではないストック情報とか対価収入との関連みたいなものにつきまして、新たに出てくるとご理解願いたいと思います。
〔 田近部会長 〕あと、連結対象法人のSNAとのそごというんですか、もう少し具体的にどういう基準が違っているのか、もうちょっと説明していただければ。
〔 森公会計室長 〕実は、資料1−4の3枚目が、国の財務書類におきましてどういうものを連結するかという基準でございます。これにつきまして、本当にいろいろ議論があったと思いますけれども、国の場合は、業務関連性ということで、支配力基準とは若干ずれているかもしれませんけれども、それを連結対象とするという形にはなっております。
ということで、SNAの場合は、たしかまさに支配力基準という形で実施しておりまして、SNAとの関連も国の連結法人の基準を決めるときにかなりご議論があったと思いますが、またこれにつきましてはいろいろワーキンググループの座長等ともご相談しつつ、せっかくの委員のご提言でございますので、どういうふうに考えていくのか、また事務局なりに整理したいと考えております。
〔 岩本委員 〕すいません、最初の質問についてもうちょっと詳しくお聞きしたいんですけれども、決算の方の書類では人件費は、この事項別の方の配分はされていなくて、財務書類の方ではするということになるんですか。
〔 森公会計室長 〕コスト情報の議論の際には、どこかに一括してある人件費についても、できるだけ各事業に割れるものについては、発生主義ベースでございますので、配賦しようという考え方がございまして、ただ、それが本当にできるかどうかにつきましては実態も踏まえつつみたいなこともございましたので、今回、まさに各省庁に投げてみて、各省庁さんが本当にできるのかどうかということで、また22年度の春以降ご議論いただくという形になるかと存じております。
〔 岩本委員 〕質問は、財務書類ベースでの議論であって、決算書の議論ではないという。
〔 森公会計室長 〕おっしゃるとおりです。
〔 岩本委員 〕はい。
〔 田近部会長 〕ほかにいかがでしょうか。安藤先生。
〔 安藤委員 〕ちょっと的外れなことを発言するんじゃないかと思いますけれども、この国の財務書類をつくるって大変な金と人を要していると思うんです。前に何かお聞きしたんだけど、ものすごい金がかかっているというお話、一概に言えますか。どのぐらいの年次ベースで。
〔 森公会計室長 〕まずは、この作業につきまして、国の会計につきましては、ご存じのとおり、まず決算なり、資産に関しましては国有財産なり物品なりの現況報告等という形で国会に報告しまして、その担当者が手すきのときに発生主義ベースの財務書類の作業をやっていただいている。これは国の説明責任の向上という観点から自主的にやらせていただいているわけでございますが、私ども、なかなか数値化できないのですけれども、各省庁からはかなりのご負担だということを聞いております。
あと、財務書類の作成システムについて、予算的には国庫債務負担行為でとっておりますけれども、このシステムの予算につきましては調査官の方で答えさせます。
〔 春谷会計制度調査官 〕財務書類作成システムの開発経費でございますけれども、工程の支援事業を含めまして、約4億7千万円を平成20年度から平成23年度の本格運用までの4年間の国庫債務負担行為という形で予算の計上をしているところでございます。
〔 安藤委員 〕ありがとうございました。ここまで、これは国の財務書類を作り始めて何年になるかな。
〔 森公会計室長 〕公表は5回目です。
〔 安藤委員 〕5回目ですよね。それで、いつか、僕は最近出ていなかったんですけれども、2年ぐらい前だったかな。つくっているのはいいけど、何に使われているのという議論がたしかあったんですよね。そして、何人かの方から、こういう情報が得られるとか、こういう情報が得られるとあったんだけど、その程度の情報であれば、既存のやつでも得られるんじゃないですかと言ったら、その人答えられなくなっちゃったということがあるんです。何が言いたいかというと、これは膨大なコストと体制で臨んでつくっている。もちろんこれは国際レベルだといえばそれでおしまいになっちゃうのかもしれないですけれども、これは具体的にこういう国の施策にこの結果が生きたとか、あるいはこういう研究発表がな� �れているとか、何かこれを活用した具体的なものがあると私なんかも黙っちゃうしかないんですけれども、きっとあるんでしょうな。ということなんですけれども。
〔 田近部会長 〕ただ、そういうのもあるし、逆に言うと、我々自身、今まで国の財政とか現金主義になれているわけですよね。だけど、本来、バランスシートと損益計算書で国も見ればいいわけで、だから、我々自身がどれだけこういうのになれるかという、そのトライアルもあるのかなと。きょう、僕も見ていて、頭の中に多少数字があって、税収は幾らだとか、今年の一般会計の赤字は幾らだとか、それを裏でくっつけて考えているわけですよね。でも、本来はこうあるべきで、これに今、一般会計と特別会計がくっついて、それに公企業がつく。それにさらに地方政府がついて、社会保障基金までつけばSNAの方にもなっていくわけです。だから、むしろ使うサイドのマインドがまだ成熟していないというのも� �るんじゃないですか。
本来は、この数字を見て国の債務負債残高はこれだけで、行政でも僕がさっき言ったように突き放して言えばいろいろあったけど、交付税の譲与金のつけかえというような形がむしろ財審の議論でも、本来の議論として、これが最初の本来のデータで出てきて議論を始めていく。今はもう一般会計は一般会計で、特別会計は切り離して、地方は切り離してと。じゃあ、SNAの方はどれだけまたそれが整合的に使えるかという感じですよね。だから、どれだけ使えるのがあるのかというのは、ご質問が正しいと同時に、我々の方のマインドがまず直らないとだめなんじゃないかと思いますけれども。
〔 岩本委員 〕まず、あまり使われない理由の1つで非常に大きいのは、遅いんです。要するに、今、平成19年度のものができ上がったんですけれども、もうすぐ平成20年度の決算が出る時期ですよね。さらに関心は決算よりも予算の方に向いていますので、私は前から言っているんですけれども、予算のこういう予定財務書類というものがあれば、そちらの方がはるかによく使われるんじゃないかなという気がします。
今回、財務書類の公表時期が大分早まるので、遅いということに関しては少し改善されて、その部分はもちろん使われる可能性はあるかもしれませんけれども、やはりそれでも予算の情報としてあればいいんじゃないかと。具体的に言うと、今はどこも埋蔵金を頼りにしているんですけれども、発生主義で見ればあれは収入になっているわけではないので、現金主義のもので予算を編成しているから、あれがあたかも国債を発行しなくて赤字ではないような形で出ると見えたりという、そのあたり、意思決定が現金主義の書類しかないことによってゆがんでいるのではないかという点があるので、メリットというか、むしろそういうものがないことによるデメリットというのも相当あるんじゃないのかなと考えています。
〔 田近部会長 〕こっちで答えちゃいましたけれども、森さんからまだあれば。いいですか。ほかに。よろしいですか。
いろいろ議論いただいて、まさに予算ベースでこういうのが出てくればそれはそうだけど、また、それはなかなか難しいだろうなという気がしますけれども、きょうのところは平成19年度の国の財務書類ができたということで、中身についてはもう繰り返しませんけれども、来年度からは一月ぐらい前倒しになりそうだと。あとは作成を早めたいということ。それから、セグメントの情報を開示したいというようなことだったと思います。ほかにご質問、ご意見、よろしいですか。どうぞ。
〔 小林委員 〕先ほどの事務事業ごとのコスト情報の作成というので、岩本委員からも質問が出たんですけれども、ここで事項別に発生主義ベースのコストを明確にしていくということで、そのときに、共通費の部分についてはできる限り施策ベースといいますか、目的別に配付をしていくように各省庁に求めていくという理解でいいんですか。
〔 森公会計室長 〕なかなか、あのときも議論がございましたが、お願いしても、どのぐらい出てくるかについては事務局としてはあまり自信がないところでございます。
〔 小林委員 〕当初から、やはりフルコスト情報ですとかライフサイクルコスト情報ですとか、そういうことが重要だというのが公会計の改革の基本的な認識だったと思うんです。ですから、いろいろな情報の中で、施策別にコストを類型していくということと、財務書類の中で施策別にいろいろなストック情報がどうかということも把握していくということが重要になってくるということで、公会計ワーキンググループのタスクとして課されているのは、上がってきたデータを見ながら、共通費部分の間接経費について、配賦基準がどのように設定できるかどうかということを検討していくというような方向性、その中でフルコスト情報の重要性だとか有用性だとかについて検討していくというように考えてよろしいと� �うことでしょうか。
〔 森公会計室長 〕小林先生の理解で結構だと思います。
〔 田近部会長 〕ありがとうございました。
以上で、今日のこの会議を締めさせていただきますけれども、平成19年度の国の財務書類については、明日、7月24日に公表の予定でございます。それまでは委員の皆様限りの扱いということでお願いします。
これで議題はすべて終了しましたけれども、最後に法規課担当の中原主計局次長からごあいさつをいただければと思います。よろしくお願いします。
〔 中原主計局次長 〕ありがとうございます。主計局次長の中原でございます。7月14日付で大臣官房文書課長から転任してまいりました。どうかよろしくお願い申し上げます。担当が当法規課のほか、給与共済課、公共事業予算、防衛費、文部科学予算を担当しております。どうかよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
本日は、お忙しい中、大変熱心なご質疑をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。国の財政状況に関しまして、企業会計の考え方を活用して国の財務書類をつくる、それを公表する、こうしたプロセスが今年で5年目を迎えることになりました。これはひとえに、本日お集まりの諸先生方のこれまでの熱心なご審議のたまものというふうに考えております。
今年は例年よりも1カ月、それでも遅いというご指摘があるわけです。また、省内でも幹部から再三そういう声をいただいているところなのですが、何とか1カ月公表時期を早めることができました。今後は、きょうご報告させていただきましたように、システムの開発を進めて、ぜひ早期化を進めてまいりたいと思っております。
先ほど水口委員長からもいろいろ有益なご示唆をいただきましたけれども、何分全省庁にかかわる大変な事務作業でございますので、試行にどうしても1年度、1回つくってみるということが必要かと思っておりますので、ご理解を賜りたいと思っております。
また、せっかく作業しております財務書類の活用に向けて、あるいはそのコスト情報の開示のあり方について、いろいろご意見をちょうだいいたしました。各種情報を的確に把握して、整理して、開示していくと。そういう作業に加えて、先ほど部会長からありましたように、それを活用するマインドの方がなかなか追いついていないところがあるような気がいたしております。岩本先生からもありましたように、埋蔵金の議論にしても、バランスシート的に考えればややプリミティブな誤解が多々世の中で行われているところでございまして、そういったものをきちんと整理していくためにも、こういう作業を基本から丁寧にご審議いただくことが非常に重要だと思っております。どうか引� ��続き委員の先生方にはご指導を賜りますようお願い申し上げまして、簡単ではありますがごあいさつにいたしたいと思います。
〔 田近部会長 〕どうもありがとうございました。
これにて本日の会議は終了させていただきます。どうもありがとうございました。
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