2012年5月17日木曜日

聖なる力 43


「敵の目的は・・・?」
「裏切り者の処刑!?」
「そんな!」
「ッ諦めるのはまだ早いわ!大気中に異常なエネルギーが満ちている!西の方向よ!」

マーキュリーの指示に、セレネ達は一目散に駆け走った――。
その後ろを、ちびうさとルナPが追いかけてることも知らず。

聖なる力 43

マーキュリーの言われた場所についてみると、そこは誰もいない大きな橋の上だった。
そこにはペッツとカラベラス、そして泡のような物に包まれて捕らえられているベルチェとコーアンの姿があり、セーラームーン達は頷く。

「お姉様!セーラー戦士達と戦うのはもうやめて!」
「何だと?」
「貴方たち!どうしちゃったって言うの!?」

「私たち� ��、暗黒の月ブラックムーンの真の姿に気付いたんですわ!」
「ブラックムーンは、目的のためには全てを踏みつけにする恐ろしい一族だという事に!」

二人はペッツとカラベラスの目を覚ますように捕らえられてるのにも関わらず必死に説得する。

「戦いとはそういうもの・・・戦って勝ち抜いた者が正しいのよ!」
「愛だの仲間だのと・・・くだらない!死んでおしまい!!」

『ちょっと待ったー!!』
「「!」」

セーラームーンの声が響き、カラベラスは振ろうとしていたスティックを止める。
上空を見てみると、鉄橋の上に満月をバックに6人のセーラー戦士の姿があった。

「それは少し違うんじゃない?」
「「セーラーセレネ!」」

「私たちが戦うのはこの美しい星の為!」
� �心優しき人々の為!」
「草木や花、生きとし生ける者の為!」
「愛と幸せと、美しい未来の為!」


滝外輪船の鐘

「そういうものをぜーんぶ踏み躙っちゃう悪い子は!この私たちが月に変わって――」
『おしおきよ!』

コーアンとベルチェは安心したように微笑む。
・・・が、ペッツは余裕に微笑み、怪しいステッキを持ち構える。

「ふ・・・こんな奴らを助けるためにやってくるとは、愚か者」
「罠とは思わなかったのか!」
「分かっていたけど、追ってきたのよ!」
「私たちのお友達を返して頂戴!」

マーキュリーの言葉にベルチェは嬉しそうに微笑む。

「友達を助けるためにですって!?」
「そんな戯言聞きたくも無いわ!――ダルクサンダー!!」

ペッツは杖から雷を放ち、セーラー戦士達は一旦散る。
さっきまで立っていた鉄橋は ダルクサンダーにより無くなっていて、前とは違う威力にセーラームーンは苦笑いだ。

尚もペッツはダルクサンダーを放ちまくり、セーラー戦士達は皆その場で倒れこんでしまう。

「大丈夫皆!?」

ルナやアルテミスが駆け付けるが、セーラー戦士達は自分たちを見下すように見つめるペッツとカラベラスを見上げる。

「全く・・・なんてパワーなの!?」
「パワーなら負けてられないね!――スパークリング・ワイド・プレッシャー!」
「ダルクサンダー!」

ペッツのダルクサンダーとジュピターの放った超高電圧球は上空で撃ち合い、ダルクサンダーは超高電圧球を打ち抜いてジュピターをも襲った。

「ああああ!」
「ジュピター!」
「くッ・・・前に戦ったときより数段パワーが増して� �がる・・・!」
「!そうだわ!」

ジュピターの言葉にマーキュリーは何か思いついたのか、ヘッドマウントディスプレイゴーグルを装着しペッツとカラベラスを推定する。


憲法を批准するための第十の状態は何でしたか?

「分かったわ!あのスティックから凄いエネルギーが放出されている!」
「じゃああのスティックを奪ってしまえば・・・!」
「前と同じパワーに戻ると思うわ!」

「私に任せて!――ヴィーナス・ラブ・ミー・チェーン!」

ヴィーナスが放ったハート型のチェーンはペッツのスティックを奪おうとしたが、ペッツは素早い動きでそれを交わし目にも止まらぬ早さで鉄橋を伝ってくる。
マーズがバーニング・マンダラーを放つもそれはスティックで弾き飛ばされ、ペッツはこっちに向かって走ってくるとスティックを構える。

「ダルクサンダー!」
「ッホーリーウォール!!」

セレネはセーラー戦士達の前に立つと 、両手を前に出して結界でセーラー戦士達を覆う・・・・が、その威力には勝てなかったのか、
結界は途中でガラスのように割れダルクサンダーによってセーラー戦士達はその場で倒れてしまった。
しかしセレネの守りが無かったら、確実にセーラー戦士達は命を絶っていただろう。

ビクともしないセーラー戦士達をペッツは目の前で鼻高々に笑う。

「今楽にしてあげるわよ・・・」

「お姉様!もうやめて!!」
「これ以上、傷つけあうのはやめてください!」
「ルベウスは、目的の為ならお姉様達も平気で犠牲にする男だわ!」
「あんな奴を信じてはいけません!」
「お姉様・・・私たちを信じて!」
「お願い!」

コーアン、ベルチェは強い眼差しでペッツを見つめる。
しかしカラベラ� �は腰に手を当てて呆れたように二人を見つめる。

「何なの!?貴方たちはさっきから!まーだ私たちの足を引っ張ろうって言うの!?」
「そんな・・・!」
「私たちはお姉様達の為に・・・」


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「大体ね、貴方達はもう用済みなの。
 これ以上くだらないお喋りを聞くのはうんざりですわ!――ペッツお姉様!さっさとこの二人を始末してしまいましょうよ!」

「ふ・・・よかろう」

やっと目が覚めたセーラー戦士達だが、立つ事すら出来ず両手を地面につけて顔だけを上げる。
ペッツは不適に笑うと、宙を浮きスティックをカラベラス達に向けて構える。

「ダルクサンダー!!」
「!」

その攻撃は、ベルチェとコーアンだけにかと思いきや二人の前に立っているカラベラスにも放たれた。
3人は悲鳴をあげ、セレネは唇を噛み締めて手をギュッと握る。

「お姉様!何するの!」「ふん、今まで散々バカにしてくれたけどそうしてると少しは可愛く見えるわよ?」
「ッ・・・・・お姉様・・・!」

「このスティックさえあれば、私のパワーは無限だわ!やがてはルベウス様も凌ぎ我が一族の頂点に立つことも可能!
 お前のようにいつ裏切るか分からない女など不要だわ!はははははは!!」

「お姉様・・・・!」
「裏切り者と一緒に死ぬがいい!」

ペッツは更にダルクサンダーを放ち、カラベラスは落ちそうになるが、何とか力を振り絞って速度を弱め、ゆっくりと地上に降りる。
コーアンとベルチェを包んでいた泡は消え二人は地面に叩き潰されそうになる・・・が、マーズとジュピターが受け止める。

「お姉様が・・・・この私を・・・・」

カラベラスは未だ信じれな いように目を見開いてその場に跪く。
セレネは安心させるように微笑むと、そっとカラベラスの肩に触れる。


「大丈夫?」
「ッたった今まで戦っていた相手に、何のつもり!?」
「傷ついた人を気遣うのは、当たり前よ?」
「!――それが、この世界のやり方なの・・・?」

セレネはカラベラスの両肩を持ち、ゆっくりと頷く。

「カラベラスお姉様・・・これが人間の愛なんですわ」
「私たちブラックムーンが忘れていたもの、それをセーラー戦士達は教えてくださいましたの」

マーズ、ジュピターに支えられながらコーアンとベルチェはカラベラスに言う。
セレネの瞳を見つめていたカラベラスは、何故か自然と瞳から涙が溢れ、やっと理解してくれたのか小さく頷く。

「私たちが・・・間違っていたのね」

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